■肘の痛み

★スポーツでの動作では肩・肘・手首が連動して働くことが多く、肘の痛みの原因が別の場所にあることも多い。肘そのものの治療だけでなく、再発予防として下半身のトレーニングを行なうこともある。



1. 肘の構造

上腕骨・橈骨・尺骨という3本の骨から構成される。曲げ伸ばし(屈曲・伸展)のみならず、ひねり(回旋運動=回内・回外)ができる。


2.肘のケガ


■野球肘

野球肘とは投球動作を繰り返すことで肘関節に起こる障害の総称である。投球休止等の安静で疼痛が軽減することが多いが、柔軟性の低下等の原因で投球フォームに問題が生じていることが根本的な原因であることがほとんどであり、柔軟性を改善し、正しい投球フォームを身につけてから復帰することが再発予防に重要である。また、手術を要することもある。


(疑う状況の一例)

投球動作時や練習後に、肘の「外側」に痛み・違和感がある。


→野球肘(外側型)

---上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎


繰り返される投球動作により、上腕骨小頭とよばれる部位に圧迫力と剪断力がかかり骨軟骨炎を生じる。また、投球と関係なく遺伝性に発生することもある。早期であれば保存療法で治癒が望めるが、発見が遅れると手術を要するため、疑う場合には早期検査が必要である。また、エコー等を用いた検診で早期発見が可能である。



(疑う状況の一例)

投球動作時や練習後に、肘の「内側」に痛み・違和感がある。


→野球肘(内側型)

---内側上顆炎、内側側副靭帯損傷、骨端線離解


繰り返される投球動作により、肘関節の「内側」部の同じ部分にストレスがかかり続けることで、肘内側の骨・靭帯・筋肉・神経に負荷がかかり生じる。剥離骨折を伴っていたり、靭帯損傷を生じていたり様々な状態がある。上記の通り、投球フォームに問題があることが多く、柔軟性を含めた動作修正がもっとも重要である。


(疑う状況の一例)

投球動作時や練習後に、肘の「後方」に痛みや違和感がある。


→野球肘(後方型)、肘頭疲労骨折


繰り返される投球動作(特にボールリリースからフォロースルー時)で骨(肘頭橈側と肘頭窩)が衝突することが繰り返されることが原因となり生じる。早期であれば保存治療が望めるが、発見が遅れると手術を要することがあり、疑う場合には早期検査が重要である。



(疑う状況の一例)

タオルを絞る・手で物を握る時に、肘の「外側」に痛みがある。


→テニス肘、上腕骨外側上顆炎


硬式テニスのバックハンド動作により発症しやすいためテニス肘と呼ばれているが、家事や仕事により発症することもよく見られる。肘の外側には手を動かす筋肉が多く付着しており、これらの筋肉の使いすぎにより痛みを生じる。30~50歳代の女性に多い。ストレッチの徹底、及び原因動作を改善することが治療となる。



(疑う状況の一例)

ゴルフのスイング時、肘の「内側」に痛みを感じる。


→ゴルフ肘、上腕骨内側上顆炎


ゴルフでダフる動作により発症しやすいためゴルフ肘と呼ばれているが、家事や仕事により発症することもよく見られる。

肘の内側には手を動かす筋肉が多く付着しており、これらの筋肉の使いすぎにより痛みを生じる。ストレッチの徹底、及び原因動作を改善することが治療となる。