■手の痛み

1.手(手指、手関節)の構造


手は「手指(しゅし)」と「手首=手関節(しゅかんせつ)」からなる。左図のように小さな骨が集まって構成されていることで、こまやかな動作が可能となっている。


2.手(手指、手関節)のケガ


(疑う状況の例)

指をボールや物にぶつけた後に指が痛い、腫れている等の症状がある。


→槌指(つちゆび)

…別名:マレット変形(へんけい)、マレット指(ゆび)

---場所:図①ほか


いわゆる「突き指(つきゆび)」の一種。指を伸ばす腱や骨の損傷。伸筋腱(図①)のみの損傷の場合と、末節骨(図①部の骨)の骨折や脱臼を伴う場合がある。手術を要することもあり、軽視せずに早期検査・治療することが必要。


(疑う状況の例)

指でボールを受けた時にそった状態で痛みが生じ、その後も腫れや痛みがある。


→掌側板損傷(しょうそくばんそんしょう)

---場所:図⑤ほか


いわゆる「突き指(つきゆび)」の一種。指を伸ばす腱や骨の損傷。掌側板(図⑤)のみの損傷の場合と、近くの骨の骨折や脱臼を伴う場合がある。初期固定が重要であり、早期検査・治療することが必要。


(疑う状況の例)

指をボールや物にぶつけた後に指が痛い、腫れている等の症状がある。


→尺側側副靭帯損傷(しゃくそく そくふく じんたい そんしょう)

---場所:図②が多い


いわゆる「突き指(つきゆび)」の一種。指の外側の靭帯や骨の損傷。尺側側副靭帯(図②)のみの損傷の場合と、付近の骨の骨折や脱臼を伴う場合がある。放置すると変形してしまうことがあり、軽視せずに治療することが必要。


(疑う状況の例)

手首を動かした時や、手のひらを押した時に痛みがある。物を強く握ったときに痛みがある。手首が動かしにくい。


→有鉤骨疲労骨折(ゆうこうこつ ひろう こっせつ)

---場所:図③


バットやラケットでボールを繰り返し打つことで微小な外力が蓄積し、軽微な外傷を契機に発生する。治療はギプス固定で骨癒合(こつ ゆごう-骨がくっつくこと)が期待できるが、骨癒合が上手くいかない場合や早期にスポーツ復帰したい場合は手術を選択することもある。


(疑う状況の例)

手が動かしにくい、手の付け根に痛みがある。


→舟状骨骨折(しゅうじょうこつ こっせつ)

---場所:図④


転倒し手をついた際に発生する。骨折していても初期は疼痛が軽微なことがあり、放置されやすい。しかし、骨癒合が起こらないと痛みが残り支障をきたす。10-20代に起こりやすく、スポーツによる受傷が半数近くを占めている。初期に固定しなければ手術を要することが多く、軽視せずに早期検査・治療することが必要。