■膝の痛み


★痛みや動きにくさなどの違和感があるまま活動を続けると、関節が変形してしまい、手術を要することもある。
→放置せず病院で精密検査を受けることが大切。



1.膝の構造


膝関節(しつかんせつ)は図①〜③の3つの骨で構成され、「曲げる(屈曲-くっきょく)、伸ばす(伸展-しんてん)」方向に動かすことができる。ジャンプ着地や踏み込みなどでひねってしまったり、使いすぎ(屈伸のしすぎ、オーバーユース)によるケガが多い。


2.膝のケガ


(疑う状況の例)

膝をひねった。膝の周囲が内出血していたり腫れている。日常生活やスポーツ中に膝がグラグラする。


→前十字靭帯損傷(ぜんじゅうじじんたい そんしょう)

…別名:ACL損傷(えーしーえる そんしょう)

-場所:図⑥


膝関節の中心にある靭帯(骨と骨をつないでいるバンド)の損傷。バスケットボールやバレーボールの急激な方向転換やジャンプの着地、またはスキーで膝がひねられた瞬間にブチッという音と同時に動作困難となる。放置するとスポーツ継続が困難となるだけでなく、早期に変形性膝関節症を発生させるリスクがあり、治療が必要である。




(疑う状況の例)

激しいスポーツを行い、膝をひねった。膝が伸びない。たまにひざの屈伸でコリッとなる。膝の内側が外側に痛みを感じている。


→半月板損傷(はんげつばん そんしょう)

-場所:図⑦-1,2


主にスポーツ外傷により、半月板と呼ばれる膝の中心にあるクッション性の軟骨が損傷する。特に膝をひねった際に損傷を受けやすい。症状は、膝が伸びなくなるロッキング症状や屈伸動作をすると引っかかりを感じるキャッチング症状が特徴的である。



(疑う状況の例)

痛みが強く関節がはれている。曲げ伸ばしで痛みがある。階段やジョギングが辛い。


→離断性骨軟骨炎(りだんせい こつなんこつえん)

…別名:OCD(おーしーでぃー)

-場所:図①と③の間(関節内)


関節の表面の骨軟骨の炎症。10才から20才代に多い。早期に治療介入するとを手術を避けることできる可能性があるが、進行期では手術を要することもある。




(疑う状況の例)

膝が内側に入った状態で踏ん張った。膝を伸ばしてお皿の骨を外側に押したときに痛みや不安感がある。


→膝蓋骨脱臼(しつがいこつ だっきゅう)

-場所:図②


通常、膝蓋骨(膝のお皿の骨)はレールの上に乗っている状態で上下して動いている。しかし、膝がひねられた状態で強く踏ん張ったときに膝蓋骨がレールの上から脱線することがある。それが膝蓋骨脱臼である。脱臼した膝蓋骨は自然に元に戻っていることが多いが、再脱臼予防には固定が必要であり、治療が必要である。再発を繰り返す場合には手術が必要となる。




(疑う状況の例)

膝の腫れと内出血がみられる。


→内側側副靭帯損傷(ないそくそくふくじんたい そんしょう)

…別名:MCL損傷(えむしーえる そんしょう)

-場所:図⑧


膝の内側にある靭帯で、ラグビーなどの接触プレーやバスケットボールなどで膝を内側にひねった場合に損傷することがある。前十字靭帯損傷を合併していることも多く、MRIで精密検査をすることが望まれる。




(疑う状況の例)

走ることや膝の屈伸をすると膝の外側が痛い。膝の外側を指で押さえると痛い。


→腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)

-場所:図⑤


膝の外側にある靭帯が固くなり、大腿骨に靭帯が摩擦されて炎症を起こしている状態のこと。O脚や小・中・高校生に多く、特に長距離走の選手が繰り返す膝の屈伸で炎症を起こす。男性に多く、底の硬い靴の使用や下り坂の走行が発症の原因になりやすい。




(疑う状況の例)

走ることやジャンプでお皿の下に痛みが出る。お皿の下を指で押さえると痛みが出る。太もも前のストレッチをすると痛みがでる。


→オスグッド病(びょう)

-場所:図②


膝の下にある骨の突起が筋肉に引っ張られ続けることで、骨ごと引き剥がされそうになっている状態。急激な成長とともに起こりやすく、発育の停止とともに軽快することが多い。大腿四頭筋(だいたいしとうきん-太もも前の筋肉)が固くならないように、リハビリや自己ケアで悪化を防ぐことが重要である。